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(コラム)坂元裕二と広瀬すずという2人の天才

脚本家の坂元裕二さんがインスタグラムにて今後の活動についてポストしていました。

 

いつもドラマを見てくださっていた方へ。4年連続で1月期の連ドラを書きました。来年の1月はありません。これにてちょっと連ドラはお休みします。4年前にそれを決めて、周囲にもそう話して、ずっと今日を目指して来ました。これらのドラマを好きになってくださった方、お手紙やメッセージをくださった方にはどんなに感謝してもしきれません。またいつか連ドラの世界に帰ってきたいと思いますが、ひとまずはありがとうございました。で、今後は色んなことに挑戦し、秋には舞台をやったりするのでまた是非。朗読劇もまた新しいのをやりたいし、満島さんと約束したチェロの映画も書きたいし、いつも見てくれてた瑛太さんとも今度はあまり間を置かずにお仕事出来るといいなと思います。ありがとう。坂元裕二

坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)がシェアした投稿 -

 

個人的には最も好きな脚本家が坂元裕二さんなので、彼の連続ドラマがしばらく観れないというのは非常に残念なのですが、満島ひかりさんや瑛太さんといった坂本作品常連との新しい作品が違った表現方法で観ることができるなら非常に嬉しい、といった相反する感情が渦巻いている状態です。

 

坂元裕二さんの手がけたドラマというと『東京ラブストーリー』が最も有名だと思うのですが、当時20代前半で社会現象を起こすほどの作品を残しているという早熟っぷりもさることながら、2010年代以降のその作品群の質の高さにはそれを上回る凄さがあります。

特に『それでも、生きてゆく』と『最高の離婚』と『カルテット』の3作品が個人的には特別な作品なのですが、それ以外にも『Mother』や『Woman』、『問題のあるレストラン』、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』など素晴らしいドラマ、そして後に書籍化された朗読劇『往復書簡 初恋と不倫』が並びます。

 

彼のドラマを観ていると社会に適合できない人が多く出てきており、それでも懸命に生きてゆく姿を描き続けているように思います。

その点では宮藤官九郎さんのドラマにも似たテーマを感じますが、特に宮藤官九郎さんも役者として出演した『カルテット』は特にそのテーマが色濃く出たもので、確かな接点を感じました。

ちなみに椎名林檎さんや小沢健二さんといった音楽家が『カルテット』にハマっており、そのことが回り回って満島ひかりさんが音楽活動に興味を持つきっかけになっているのも興味深いところです。

 

そして、その坂元裕二さんの最新作が広瀬すずさん主演の『anone』でした。 

 

広瀬すずさんは『海街diary』以降、『ちはやふる』シリーズという当たり役にも恵まれ、『怒り』や『三度目の殺人』でのシリアスな役にもチャレンジし、『バケモノの子』や『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で声の良さでも認められ(坂元裕二さんも声に非常にこだわりのある方です)、しかも10代の内にこれほどまで完璧なキャリアを築き上げているという、飛び抜けた才能の持ち主だと思います。

 

ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』内のコーナー「ムービーウォッチメン」で『ちはやふる 上の句』が取り上げられた際には、宇多丸さんは広瀬すずさんのことを「10代の頃の宮沢りえ」の陽性の部分と「10代の頃の薬師丸ひろ子」の陰性の部分を併せ持つ女優と評しています。

www.tbsradio.jp

  

そして、先日『anone』の最終回が放送されました。

坂元裕二さんの脚本で広瀬すずさんが主演ということで放送前から楽しみにしていたのですが、第1話はストーリー構成やダイナミックな風景を納めた撮影なども含め、これまでの日本のテレビドラマのクオリティを一段上げたような完成度でした。

その後もトータルの完成度では特別な作品として挙げた3作に譲るとしても、第9話におけるカーテン越しのシーンは、『怒り』や『三度目の殺人』以後を感じさせる広瀬すずさんの演技力も相まって非常に心に残るものでした。

 

そして最終回が放送される直前には『ちはやふる 結び』も公開されましたが、前2作からの実際の時間の経過が劇中での成長にそのままシンクロし、前2作以上に刹那的な輝きが克明に刻まれた青春映画の傑作に仕上がっていました。

特に同時期に『anone』と『ちはやふる 結び』を観ることで、広瀬すずさんの持つ陰性と陽性をより対比的に感じ取ることができ、今の彼女の勢いと圧倒的な魅力をより感じることができると思います。

 

ということで、『anone』以降、連ドラをしばらく休む坂元裕二さんと、今後も女優としてのキャリアをどんどん駆け上がっていくであろう広瀬すずさんという2人の天才からは決して目が離せないという話でした。