チャート式ポップカルチャー

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(コラム)ポップカルチャーの架け橋となるチャイルディッシュ・ガンビーノとジャネール・モネイ

俳優としてはドナルド・グローヴァーとして『スパイダーマン:ホームカミング』や来月に公開される『ハン・ソロ』にランド役として出演し、ミュージシャンとしてはチャイルディッシュ・ガンビーノとして活動している彼の新曲、「ディス・イズ・アメリカ」のMVが非常に話題になっています。

現在のアメリカの光と闇を描いたような劇薬的MVです。

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また、この曲にはヤング・サグ、21サヴェージ、ミーゴスのクエヴォ、レイ・シュリマーのスリム・ジミー、ブロックボーイ・JBらが参加しているとも言われ、MVにはSZAも登場するなど『ブラックパンサー』のインスパイアアルバムを彷彿とさせる豪華さです。

 

このドナルド・グローヴァーはドラマ『アトランタ』では役者のみならず、製作総指揮、共同原案、脚本、音楽なども手掛けており、また『ブラックパンサー』には脚本で一部参加したりと、俳優、ミュージシャン、クリエイター、更にはコメディアンとしてどの分野でも一流の才能をみせており、多才とは彼の為にある言葉なんじゃないかと思えるくらいの正真正銘の天才と言えます。

 

ここで今年のアカデミー賞を振り返ってみると、やはり当初から『ゲット・アウト』の人気が非常に印象に残っています。

この『ゲット・アウト』の主演のダニエル・カルーヤもその後『ブラックパンサー』に出演していましたが、この映画の冒頭で流れる曲がチャイルディッシュ・ガンビーノの「レッドボーン」でした。

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さて、『ブラックパンサー』が全米で公開された際、ジャネール・モネイの新譜『ダーティー・コンピューター』のトレイラーが上映前に初公開されていました。

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これは、女優としても活躍しているジャネール・モネイの出演作『ムーンライト』に出演しているアレックス・ヒバートが『ブラックパンサー』に出演していること、更にはジャネール・モネイがデビュー以来一貫してテーマにしてきたアフロフューチャーリズムという点で『ブラックパンサー』と共通するものがあることからのコラボレーションだったと言えるのですが、『ダーティー・コンピューター』のMV(アルバム1枚丸ごとをMVにした、ビヨンセのコーチェラでのライヴパフォーマンスにも匹敵する様な必見の内容です)にはテッサ・トンプソンが出演しており、彼女はライアン・クーグラ監督作の『クリード チャンプを継ぐ男』とマーベル・シネマティック・ユニバースの『マイティ・ソー バトルロイヤル』に出演していることからも、現在のポップカルチャーの垣根を飛び越えたコラボレーションが見てとれます。

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また『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』の公開日と『ダーティー・コンピューター』のリリース日が同日だったのは偶然かもしれませんが、何か因果の様なものを感じてしまいます。

 

サン・ラやPファンク、アース・ウィンド&ファイアー、アフリカ・バンバータハービー・ハンコックパブリック・エナミーなど様々なミュージシャンがモチーフとして取り入れてきたアフロフューチャーリズムですが、その最先端が映画では『ブラックパンサー』、音楽ではジャネール・モネイだと思います。 

更に言えば、アフロフューチャーリズムは公民権運動と宇宙開発史が切っても切れない関係にありますが、ジャネール・モネイが『ムーンライト』と『ドリーム』という作品に出演していることは、その歴史を見事に接続しているように思えます(更にそこにLGBTQへの意識もあるというのも素晴らしいです)。

 

というように、現在のポップカルチャーはジャンルの垣根を自由に飛び越え、更には歴史や社会とどんどん溶け合っていくような作品が増えてきています。

今年公開された映画の中で「賢者は橋を掛け、愚者は壁を作る」というセリフがありましたが、まさにポップカルチャーの世界でもそんなことが現在進行形で起こっています。