チャート式ポップカルチャー

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(コラム)YouTubeで観るCoachella 2019

先週末と今週末の2週にわたりアメリカ・カリフォルニアではコーチェラ・フェスティバルが開催されています。

コーチェラ・フェスティバルとは日本のフジ・ロック・フェスティバルやイギリスのグラストンベリー・フェスティバルの様に大自然の中で行われる野外音楽フェスで、アメリカ最大級の音楽フェスティバルの1つです。

また、近年ではグラミー賞のパフォーマンスやスーパーボウルのハーフタイム・ショーと同じくらい重要な表現の場としても注目されています。

 

さて、先週末はそのコーチェラ・フェスティバルのライブ中継がYouTubeで行われていました。

計3チャンネルからなるコーチェラのYouTubeチャンネルでは生中継だけでなく、最大4時間の巻き戻しも可能で様々なミュージシャンのライブを観ることができました。

特に今年は配信されたラインナップは例年よりも大盤振る舞いな印象で、先週末はYouTubeからずっと目が離せない状況でした。

そんな3日間の中で特に印象に残ったステージを1日1ミュージシャンずつ挙げるとすると、1日目はチャイルディッシュ・ガンビーノ、2日目はビリー・アイリッシュ、3日目はアリアナ・グランデのそれぞれのステージが印象に残っています。

 

1日目はヘッドライナーのチャイルディッシュ・ガンビーノの出番へと続くBLACKPINK、The 1975、ジャネール・モネイが並んだチャンネル1の配信タイムテーブルも素晴らしかったのですが、何と言ってもチャイルディッシュ・ガンビーノの凄さに打ちのめされてしまいました。
ミュージシャンだけでなく俳優やコメディアンもこなす彼の表現者としてのポテンシャルが余すところなく発揮されたライブパフォーマンスであったことは言うまでもなく、更に凄かったのは映画やドラマの制作にも携わっている彼ならではの映像作品としての強度、そしてショットやカメラワークなどもライブ配信とは思えないような完成度、そういった部分で去年のビヨンセのコーチェラでの舞台芸術として圧倒的な完成度を示したパフォーマンスを本気で越えようとする姿勢に興奮を抑えることができませんでした。
また、ほぼ同時にチャイルディッシュ・ガンビーノ制作の『Guava Island』がAmazonで公開され、これが彼の音楽活動を総括するような素晴らしい映像作品になっており、アメリカ的資本主義に対する批評的な目線を持ちながらも、音楽とダンスで団結をアジるような部分は小沢健二さんの『うさぎ!』などの文章と通じるものを感じ、ライブ後にもチャイルディッシュ・ガンビーノの凄さに打ちのめされてしまいました。

まさにこの日はチャイルディッシュ・ガンビーノの1日でした。

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2日目はビリー・アイリッシュのファンダムの熱狂ぶりに衝撃を受けました。

ビリー・アイリッシュのカリスマ性と、そのカリスマ性だけに頼らない躍動感あふれるパフォーマンスは17歳にして貫禄すら感じさせる素晴らしいものだったのですが、それ以上の興奮と熱狂で迎え入れた観客席の盛り上がりには思わず鳥肌を立ててしまいました。

というのも、ほぼ全曲大合唱が巻き起こり、コール&レスポンスや曲終わりの奇声にも似た歓声は桁違いの音量で、他のミュージシャンの中継とは全く違った光景が繰り広げられていました。
また白を基調とした衣装や病院に置いてあるようなベッドがセッティングされているのは、どことなくレディング・フェスティバルに出演した際のニルヴァーナカート・コバーンを彷彿させるものでした。

ニルヴァーナのあのステージのように、今回のビリー・アイリッシュのステージは今後も伝説のように語り継がれていくのではないかと確信しています。

そして、3日目のアリアナ・グランデは「thank u, next」以降のモードもしっかり入れつつ、出自であるティーンアイドルとしての役目もきっちり果たし、トップランナーならではの座長として様々な世代のゲストを呼ぶなど、どのファン層にも目配せされた素晴らしいものでした。

正直なところ、チャイルディッシュ・ガンビーノの革新的なステージとビリー・アイリッシュの熱狂的な盛り上がりを観た後だったので少し冷静な目線で観ていた部分もあったのですが、このパフォーマンスが行われている間、客席ではジャスティン・ビーバーの大ファンであるビリー・アイリッシュジャスティンと初めて出会い、強く抱きし合うというとてもドラマチックで素敵なシーンも生まれていました。

そんな素晴らしいシーンが生まれたのはアリアナ・グランデが去年から表現していた作品の空気感があってこそのもので、3日間を振り返ってもあの瞬間こそが今年のコーチェラの最高の瞬間でした。

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さて、今週末のコーチェラもライブ中継が行われ、Perfumeの配信もあるようです。

世界最高峰の音楽フェスの中でPerfumeが活躍することを期待をしつつ、他のステージの素晴らしい音楽とダンスにも心をときめかせたいと思います。