チャート式ポップカルチャー

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(コラム)マーベル・シネマティック・ユニバースの10年

なんと、ケンドリック・ラマーの『DAMN.』がアメリカで最も権威ある賞のひとつとされるピューリッツァー賞の音楽部門を獲得しました。

2016年にノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランも2008年に同賞の特別賞を獲得しているのですが、ピューリッツァー賞の音楽部門ではジャズとクラシック以外のミュージシャンに授与されるのはこれが史上初とのことで、先日行われたコーチェラのビヨンセのライブと並ぶ、文化的偉業としてこれからも語り継がれるのではないでしょうか。

 

そして、ケンドリック・ラマーがインスパイア・アルバムを担当し、目下マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)最新作『ブラックパンサー』の北米興収が6億6000万ドルを突破したことで『タイタニック』を抜き、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(9億3666万ドル)と『アバター』(7億6050万ドル)に次ぐ、歴代興収3位となりました。

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という様に、まだまだ『ブラックパンサー』の大ヒットの余韻も残ってはいるのですが、MCUも今年で10周年を迎え、いよいよこの10年の集大成とも言える『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(以下『インフィニティ・ウォー』)の公開まで10日を切ってしまいました。

10年前のMCUの1作目である2008年の『アイアンマン』からヒットし、その後2012年の『アベンジャーズ』の大成功を振り返ると一見順風満帆の様に思えますが、当時の視点からすると必ずしもそうではありませんでした。

 

まず2008年当時、マーベル・コミック原作のキャラクターの中でもアイアンマンは決して知名度のあるキャラクターではなく、更にクロスオーバーを目論んでいたとはいえ、『スパイダーマン』シリーズはソニー、『X-MEN』シリーズは20世紀フォックスがそれぞれ配給権を持っており、そこに登場するキャラクターは登場させられないという状況、更に依然としてスーパーマンバットマンを擁するDCコミックスの方がバリューがあり、尚且つクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』が大ヒットした様な年でもありました。

 

ですが、知っての通り『アイアンマン』は成功し、その甲斐もあり目論見通りアメコミヒーロー大集合映画の『アベンジャーズ』の製作も続行できたのですが、とはいえ2012年当時の感覚でいえばそんな映画が成り立つのかという疑念も多いにあり、不安感も間違いなくありました。

ですが、また知っての通り『アベンジャーズ』も大成功し、世界中で特大のヒットを飛ばしたことで、エンターテイメント映画全体が連続ドラマ化することへの一番の引き金となったのですが、そういった一連のユニバース化が必ずしも成功しているとは言えないことが逆説的に『アベンジャーズ』という映画の凄さを証明することになっているのではないでしょうか。

 

更にMCUブランドが確固たるものとなったのには、2014年の2本も非常に大きかった様に思います。

キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という全く方向性の違う傑作が同年に公開されたことにより、より一層MCU作品がポップカルチャー全体に影響を与えていくものになり、社会の映し鏡として映画と音楽が今まで以上に強く結び付いていった様な感覚があります。

 

そういった流れの中で共通して言えるのが、ジョン・ファブローやジョス・ウェドンルッソ兄弟ジェームズ・ガンという、必ずしも有名ではないが確かな手腕を持った監督をフックアップし続けているその姿勢がこの成功を導いてきたのではないかと思うのですが、その最新の成果は言うまでもなく『ブラックパンサー』でしょう。

 

さて、『アイアンマン』や『スパイダーマン』、『X-MEN』らの原作者でもありMCU作品のみならず、他のマーベル・コミック原作映画にカメオ出演することでお馴染みのスタン・リーは『インフィニティ・ウォー』を観る前に観ておきたいMCU作品10本として、『アイアンマン』、『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』、『アベンジャーズ』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』、『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』、『ドクター・ストレンジ』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』、『ブラックパンサー』を挙げていました。

 

また今作の監督を務めるルッソ兄弟は「『アベンジャーズ4』は『ウィンター・ソルジャー』から始まった一連の物語の結末。『ウィンター・ソルジャー』で始まり、『アベンジャーズ4』で終わる物語は我々にとって重要な主軸だ。観れば我々の映画製作者としての視点を理解してもらえると思う」と言っている様に、監督作を務めた『ウィンター・ソルジャー』と『シビル・ウォー』、『インフィニティ・ウォー』、そして来年公開される『アベンジャーズ4』を一つの流れとして捉えている様です。

 

ということで、今までのMCUの傾向を考えると、最低限『アベンジャーズ』シリーズの2作と、ルッソ兄弟が監督を務める『ウィンター・ソルジャー』と『シビル・ウォー』という『キャプテン・アメリカ』シリーズ2本を観ておけば『インフィニティ・ウォー』を観るにあたって置いてけぼりにはされない様なバランスにはなるのではないかと思います。

 

とはいえ、この10年MCUが積み重ねてきたものはポップカルチャー全体に多大な影響があり、それこそ近年ビヨンセやケンドリック・ラマーが積み重ねてきたものと同等のものがあると思っています。

ですので、『インフィニティ・ウォー』をこの10年のMCUの集大成としてだけではなく、この10年のポップカルチャーの集大成として、そして最新のポップカルチャーの入り口としても、是非劇場でご覧ください。

 

 

(追記 2018/4/27)

『インフィニティ・ウォー』が公開され、鑑賞してきました。

もし可能であればMCUの作品全18本を全てご覧になってから観てください。

それくらいオススメです!